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夜勤中に見つけた“ウソの書類工場”…病院で1億円超の不正請求 元職員「看護師名簿に用務員が」

02/22(月) 17:26配信

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 診療報酬の不正な請求が明らかになったのは、元職員による内部告発でした。金沢市の藤井病院が1億円を超える診療報酬を不正に請求していた問題。元職員が石川テレビに語った証言から、驚くべき不正の実態が明らかになりました。

元職員・Aさん:
「改ざんしたシフト表がいくつも出てきまして、(ウソの)書類をここで作っていたんだと見つけることができました」

 石川テレビにこう証言したのは、以前藤井病院で働いていたAさん。

 Aさんは、改ざんされたシフト表を病院内で見つけ、写真や動画に残していました。

Aさん:
「看護師の名簿なんですけど、この中に用務員の方の名前が入っていたり、掃除係の女性もどっかに入ってたなぁ…」

 何年も続いた病院の不正請求。偽の資料は病院内の「密室」で作られていました。

 金沢市の藤井病院。看護師などの人数を実際より多く申告し、5年間でおよそ1億5900万円の診療報酬を不正に請求していました。

藤井博之院長(2月17日):
「私の監督不行き届きにて不正請求を行ってしまい、皆様に大変ご迷惑をおかけし、申し訳ございませんでした」

病院側の弁護人:
「今もそうだと思うが、医療従事者の人手不足というのが(不正の)原因かなと」

 元職員のAさんは在職中、勤務管理の体制に疑問を抱いていました。

Aさん:
「明らかに看護師の人数が足りていないということはわかっていたが、その(足りていない)証拠がなかなか見つけられなかった」

 そんなAさんは、夜勤の巡回をしていたある日、偶然「証拠」をつかんだのです。

Aさん:
「本来タイムカードが置いてある場所とは全く違う会議室に新しいタイムカードの用紙や機械があった改ざんしたシフト表がいくつも出てきて、(ウソの)書類をここで作っていたんだと見つけることができました」

 あるタイムカード。拘束時間が長い夜勤を実際は6回していますが、偽造されたカードを見ると夜勤は3回だけに。残る3回は、拘束時間が短い日中の勤務に変わっています。

Aさん:
「本物は勤務時間が長かったり勤務日数が多かったり。で、偽造の方はすごく適切な労働時間になっています」

 では、偽造によって減らした勤務時間は誰が補ったのでしょうか。Aさんがさらに調べると、信じられない資料が見つかります。

Aさん:
「看護師の名簿なんですけど、この中に用務員の方の名前が入っていたり、その当時在籍していない看護師の名前が入っていたりしていました。掃除係の女性もどっかに入ってたなぁ…」

 資料改ざんの実態を知っていたのは、一部の幹部だけだったとみられます。

 Aさんは覚悟を決め、監査を行う東海北陸厚生局に告発しました。

Aさん:
「私が持ち込んだ資料を見て(厚生局の担当者から)『次回からもうちょっと人数をかけて突っ込んでいきます』という言葉を聞けたので、あとは見守ろうという感じになりました」

 不正の発覚を受け、藤井病院を運営する医療法人は来年1月1日付で保険診療ができなくなりました。入院中の患者を守るためには、病院をほかの医療法人などに引き継ぐ必要があります。

 寝たきりの夫を藤井病院に入院させている女性は…。

夫が入院している女性(58):
「出て行ってくれって言われたらすごく困ります。(Q.行き場所がない?)ないですね、たぶん」
「こういう状態になってスタッフの看護師さんとかが辞めちゃって人がいなくなったらどうするんだろうっていうのも大きな不安の1つ」

Aさん:
「利用してくれていた患者さんに申し訳ないというのと、残念な気持ち。(病院を引き継ぐ法人には)健全な医療の体制を作っていってほしいなと思います」

 健全な経営に見せかけて診療報酬をだましとる、あまりに悪質な行為。藤井病院側は不正に受け取った金について、「全額返還する意思はある」としています。

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