<受賞理由>
能登半島地震から丸2年が過ぎ、輪島塗の業界も少し落ち着いてきたが、まだまだ先が見えない状況が続いている。
高齢者は日々月毎に追い込まれ、若手は先を読み、業界から離れていくものも多い。そうした中、受賞者は輪島に残り、輪島塗の次代を担う蒔絵師としての確かな技、そして作家としても、美しく豊かな着想と表現力で、若手を率先して引っ張っている。 1971年、輪島市で生まれた受賞者は、小さい頃から絵を描くことが好きで、輪島実業高校を卒業し、輪島漆芸技術研修所で漆芸を学んだ後も研鑽を重ね、2018年に47歳で独立した。独立後も積極的に公募展に応募し、2022年の第69回日本伝統工芸展で「蒔絵箱『凛花』」が高松宮記念賞を、2023年の第40回日本伝統漆芸展で「蒔絵箱『優しい風』」が朝日新聞社賞を受賞。2024年元日の震災後も同年の第71回日本伝統工芸展で「蒔絵箱『盛夏』」が日本工芸会奨励賞を、翌年、2025年の第81回現代美術展で「蒔絵箱『里の灯』」が美術文化大賞・石川県芸術文化協会会長賞を受賞した。身近にある椿や睡蓮をはじめとした植物や蝶、貝殻など自然から着想を得たモチーフで叙情的な作風を持ち味としている。また研出蒔絵などの卓越した技術を駆使して表現された作品は、高い評価を得ている。 |