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地震の記憶を風化させない…能登町で地元の有志が劇団『む防一座』立ち上げ 恐ろしさや避難所の日々演じる

能登半島地震から間もなく2年、能登町では地震の記憶を風化させないようにと地元の有志が劇団を立ち上げました。その名も「む坊一座」。地震の恐ろしさや避難所で支えあった日々を演じています。

女性:
「あー恐ろしや、どうしよう父ちゃん。」
男性:
「瓦崩れて雨漏りしとる。いつわてら帰れるかわからん。」

先月16日、能登町柳田で行われた「柳田文化まつり」。

寸劇を披露するは地元の有志で作る劇団「む坊一座」です。能登半島地震の歴史を紡ぐため今年8月に結成されました。

寸劇の題名は「この土地に生きる」。去年元日に起きた能登半島地震とその後の避難所での生活を描き5人の団員が「被災した住民」を演じます。

「一歩ずつただ前に進むだけやこの柳田で」

脚本、演出を担当し座長を務めるのは今圭子さんです。
今さん:
「年明けたら2年になりますよね。だんだん忘れていってしまうので地震のときのいろいろな思いとかを残したかった伝えたかったという思いが一番。」

地震での実体験。苦難を乗り越えた日々。そして住民たちの温かさ。全国から集まったボランティアに感謝の気持ちを込めて熱演します。

「地震が起きたあと両隣の方を始め人の悪口を言わんようになった」
(観客の笑い声)

観劇した人は…:
「もう避難することがなければいいなとそう思いながら見ていました。全然悲壮感なくて明るかったのがよかったですね。」

この日も次の公演に向けて練習に励みます。団員は地元、輪島に住む元教師やマツタケ獲りの名人など5人。平均年齢は約70歳です。舞台で使う小道具も互いにアイディアを出し合いながら手作りで用意します。

中塚さん:
「手作りです段ボール。」
畑中さん:
「1回目は無くて立ったまんま喋っていたんです進化はしている。」
今さん:
「これは漆だって言うんで壊れないように。最初の場面は実際に私の家での出来事なんです。家で当時地震があったときコタツにしがみついていた自分がいたのとかその時のことを思い出して迫真の演技をしているつもり。」

地震の記憶はもちろん、ボランティアや自衛隊などお世話になった人たちに「明るく前向きな姿で感謝の気持ちを伝えたい」。それが団員たちの原動力です。

今さん:
「これはハッキリと大工がおらんということと瓦ずれとるけど瓦屋がおらん、いつになったら戻れるかわからんってみんな悩んどったことを残してほしいからハッキリと言ってほしい。」

畑中彰治さん:
「軽い気持ちでやったんですが1回目やってみてすごく楽しかった。」

井口朝代さん:
「感謝の心とか思っとるだけじゃ相手に伝わらないし表現しないとダメやと思って。」

団員が帰った後も一人、台本を見直す今さん。

今さん:
「食べることから住むことから絶対一人でやってきたわけではないと思うんですよ、いろんな人に助けてもらった。見た人には一人じゃ何もできなかったということをもう一回思ってほしいんです。」

あの時の記憶を忘れないこと。それが能登のこれからにつながることを願って。

今さん:
「少しずつ一歩ずつただ前に進むだけやこの柳田で。」

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