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10月末の公費解体完了は困難に…能登半島地震の被災地で何が起きているのか 罹災調査すらできない地域も
能登半島地震などを受け県が目標としてきた、今月末までの公費解体完了。しかし県は10日、今月末までの完了は困難になったとして「概ね完了」との表現に変えました。被災地で何が起きているのか、取材しました。
南谷美有さん:
「ここがじいちゃんの家です。」
輪島朝市で干物や塩辛などの加工品を販売していた南谷さん。祖父との思い出が詰まった家の解体がようやく始まりました。
南谷さん:
「小さいころから毎日のように遊びに来ていたおうちなので、思い出もいっぱいつまっているし、じいちゃんが大切にしてきた家だからこそ、壊れていくのが辛いです。」
公費解体の申請は約1年前。ようやく始まった解体ですが、ギリギリまで壊すかどうか迷っていたそうです。
南谷さん:
「つぶれて住めないけど、お別れがちょっと伸びたからいっかっていう。今は寂しいです、寂しいですね…。」
県は今月末までに公費解体を完了することを目指してきました。輪島市では今月13日時点で1万2480棟の申請があり、このうち1万1040棟の解体が完了しました。残る1440棟の中には解体のための調査すらできていない建物もあります。
輪島市公費解体推進室 友延和義次長:
「別管理と言うことで621棟が別管理になっています。主な理由は道路がいけないと言う事で、350棟くらいあります。あくまで道路インフラが回復した時点で(解体)ということで私たちはコントロール出来ない。」
道路の寸断で重機が入れず実家の解体がいつになるか分からない出口彌祐さん。
出口さん:
「擁壁見えるでしょあそこが道路があったところです。もうどうにもならないですね。」
地震で寸断された道路。さらに豪雨で土砂崩れが発生し、全くの手つかずだと言います。
Q いつごろ解体ですか?
出口さん:
「全然聞いていません。市道なおしてそれから公費解体って言う事になるんで、お墓もそのままだし…つぶれたままですわ。」
さらに輪島市には、罹災調査すらできていない地域があると言います。
Q 罹災調査出来ない地域と言うのは?
友延次長:
「舳倉島とかが当たります。その都度、環境省、県と相談しながらになると思います。」
約100棟ほどの建物があると言う舳倉島。市では来年春ごろに本格的な調査を始める予定で、公費解体についてはその段階で改めて検討することになるそうです。
今月末までの公費解体完了を声高に掲げてきた馳知事。取り残される人がないようきめ細かな対応が求められます。