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輪島市の復興最大の壁は「人手不足」 豪雨被災から1年、坂口市長と地元酒店主が語る現状
輪島市のいろは橋から河原田川沿いに300mほど上流にある新橋のたもとにいます。この辺り一帯は去年の豪雨による川の氾濫で大規模な浸水被害が発生しました。その光景は今も私の脳裏にはっきりと焼き付いています。
河原田川の氾濫により大きな被害を受けた輪島市河井町から、輪島市の坂口茂市長にお話を伺いました。
――奥能登豪雨からあさってで1年となりますが、この1年を振り返っていかがですか。
坂口市長:
本当に、大変な1年だったと思います。能登半島地震のですね、復旧がまだ十分対応ができていないところに豪雨ということで、多くの市民にとっても心が折れた、それからまた復旧に向かって頑張るという、なかなか大変な思いをした1年だったという風に思っております。
――その中で、現在市長がお考えの輪島市の課題はどんなところにありますか。
坂口市長:
なんと言っても、復旧に向けて、全国からの多くの支援によって応急的な復旧はできたんですけども、本格的な復旧に向けての人手が足りないということですね。
ボランティアの方がたくさん来ていただいて、物理的にも心の支えにもなったことは本当にありがたいんですけども、本格的な復旧を進めるにおいては工事の業者さん、建物を建てるコンクリート屋さんとか建築士さんの人手が足りないというのが大きな課題であります。
市民の声を直接聞くため、新橋のすぐ近くにある「たかた酒店」を訪ねました。社長の高田雅文さんにもお話を伺います。
――1年前の豪雨で、こちらのお店はどのような被害があったのでしょうか。
高田社長:
浸水がこの辺りまで来まして、後ろの倉庫は少し下がっておりますので、1m60cmくらいまで浸水いたしました。
――大きな被害があった中でも、去年の12月中旬にお店を再開されたそうですが、それはどんな思いがあったのですか。
高田社長:
一度は完全に心が折れたんですが、建設会社を営んでいる友人が次の日に来てくれたり、大工経験のある同級生が毎日来てくれたり、あとボランティアの方々、そしてお取引のある酒蔵さんたちが手伝いに来てくださって、復興に加速がついたんだと思います。
何よりも心強かったのは、全国のお取引様、お客様の温かいメッセージが数百通届きまして、それに背中を押されるような形で私も再起を決意いたしました。
――高田さんはこのお店の社長であり、この地域を含む「輪島11区」の区長でもいらっしゃいます。高田さんが今思うこの町の課題は何でしょうか。
高田社長:
まずインフラの整備だと思います。3点ありまして、まず歩道を含めた道路の修復。それと輪島市の中心地を流れております河原田川が、護岸の崩れたところは今、土のうを積み上げただけという状況で、流木も残ったままです。
やはり線状降水帯とかが来ると、町内の方は不安でどうしようもないとおっしゃっております。
――道路と川、そして橋ということですね。この声を聞いて坂口市長はどのように思われますか。
坂口市長:
私どももですね、国、そして県の力を合わせて、1日も早く復旧をということで今取り組んでいるところであります。川に関しましては、来月あたりに地区の皆さんに工事の方法をご説明しまして、その了解が得られ次第、工事に着手ということで、令和9年度中にはこの辺り一体、そして川全体とすれば令和10年度中には完了したいという風に思っております。
――市長からのお話もありましたが、これからの町の復興に必要なのは何だとお考えですか。
高田社長:
まずインフラを整備されないと、今、町を出ている人たちも戻ってこれないんです。地震でなんとか耐え忍んでここに住んでいた方も、今回の水害でもう住めなくなって出て行ったままの方がいらっしゃるんです。ですので、ぜひ、馳浩知事に一度この現状を見ていただきたいなと思ってます。
スタジオの金沢大学・青木賢人准教授からも質問が寄せられました。
――インフラや河川の復旧も、朝市通りですとか輪島港の復興と連動して進んでいくことかと思います。今どのような見通しになっておりますでしょうか。
坂口市長:
昨年度の年末までに、工事の予算を確保するための災害査定というものを終えました。今年は復旧工事に向けて測量、調査、設計を具体的にやっているところでありまして、年内にそういった設計が概ね完了しますので、終わったものから順次、様々な工事の調整をしながら着手していくという段取りになってます。
――最後に、市民、そして県民に向けて一言メッセージをお願いします。
坂口市長:
輪島市を含め能登、奥能登はですね、本当に大きな被害を受けました。ですが、しっかりとこの復旧復興を目指していきたいと思っております。「元よりもっと」ということで、地震前よりも豊かで安心して暮らせる、そんな輪島市を皆さんと力を合わせて作ってまいりますので、皆さんも一緒に共に頑張っていきましょう。よろしくお願いいたします。