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横綱・大の里、連敗スタート 元十両・高立が解説する「苦手な相手」の共通点とは
大相撲名古屋場所が開幕し、津幡町出身の横綱・大の里がまさかの2連敗スタートとなった。先場所は怪我で全休し、復調がアピールされていた中での黒星発進に、ファンからは心配の声もあがる。元十両・高立さんは、その敗因を「緊張感」と分析。一方で、同じく石川県出身で期待の新星、穴水町出身の大森は落ち着いた取り口で白星発進を飾り、対照的な結果となった。郷土力士たちの名古屋場所での戦いを追う。
大相撲名古屋場所が12日、初日を迎え、郷土の期待を一身に背負う横綱・大の里(津幡町出身)が土俵に上がった。しかし、結果はまさかの連敗スタート。初日は苦手とする新小結・義ノ富士に敗れ、黒星発進となった。
続く2日目の相手は、過去1度対戦し敗れている藤の川。立ち合いから激しく当たり、前に出ていった大の里だったが、右の下手が入ったものの相手にうまくはたかれ、突き落としで敗れた。これで2連敗。休場前の初場所の千秋楽から数えると7連敗となり、苦しい状況が続いている。
先場所は怪我で全休したが、先月のパリ公演に参加するなど、場所前には復調ぶりをアピールしていただけに、この結果は多くのファンにとって予想外のものだっただろう。
この状況を、金沢市出身の元十両・高立さんはどう見るのか。高立さんは、大の里の状態について「場所前は非常にいい稽古ができて、肩の調子もいいっていうふうに聞いてた」と前置きしつつも、「何よりまだ緊張感がすごい残ってるのかなっていうふうに見受けられますね」と、精神的な影響を指摘する。
フィジカル面での回復は進んでいる一方で、本場所の土俵で感じるプレッシャーが、本来の動きを妨げているのかもしれない。気持ちの部分が大きく影響している可能性は否定できない。3日目は前頭筆頭・隆の勝との一番が組まれており、まずは初白星を掴み、復調のきっかけとしたいところだ。
2日目の対戦相手、藤ノ川は身長177センチ、体重123キロと、いわゆる小兵力士だ。しかし、高立さんはその強さを「何をするにでも、思いっきりがいいのと、あと、相撲感がすごいいいですよね」と評価する。
実際の取組を振り返ると、大の里は立ち合いからもろ手で突き放し、右を差して左もおっつけ気味になった。しかし、腰が高かったという。その一瞬の隙を藤ノ川は見逃さなかった。高立さんは「横綱がさあ攻めようと思って頭を下げたときと同時に、藤の川好きが突き落とした。ここが先ほど言った相撲勘の良さが出てしまった」と分析する。
攻めに転じようとした大の里の動き出しを完璧に読み切り、突き落としを決めた藤の川。その卓越した“相撲勘”が、番狂わせを呼んだと言えるだろう。
大の里が苦しむ一方、郷土力士の中には明るい話題もある。石川テレビが注目する穴水町出身の幕下・大森だ。金沢学院大学時代に国民スポーツ大会で個人・団体の二冠を達成し、全日本相撲選手権で準優勝という輝かしい実績を引っ提げて角界入りした期待の若手である。
先場所のデビュー場所では6勝1敗と好成績を収め、優勝決定戦まで進出。惜しくも優勝は逃したが、その実力の片鱗を見せつけた。その活躍により、今場所は番付を幕下最下位から二十六枚目まで上げている。
デビュー二場所目となった今場所の初日、大森は幕下二十五枚目の行徳と対戦。見事、白星で初日を飾った。
初日の大森の相撲は、その落ち着きぶりが光るものだった。立ち合いで変化して相手の懐に入ると、間髪入れずに右の上手まわしをがっちりと掴んだ。高立さんはこの一番のポイントを「立ち合い変化で相手を仕留めるのではなく、立ち合い変化で相手を崩しつつ、自分の形にすぐなれたこと」と解説する。変化はあくまでも自分の形を作るための手段であり、その後の攻めが非常に早かった。常に頭を低く保ち、相手にまわしを取らせることなく攻め続け、最後は出し投げで崩してからの寄り切り。デビュー二場所目とは思えない、冷静かつ力強い相撲だった。
高立さんが先場所後に連絡を取った際、大森本人は「緊張していない」と語っていたという。その言葉通り、大舞台でも物怖じしないハートの強さが、彼の強さの源泉なのかもしれない。
対照的なスタートとなった横綱・大の里と新星・大森。高立さんは「横綱・大の里好きは、何より白星が一番の薬になると思う。明日以降しっかり勝って、また次につなげてもらいたい」とエールを送る。そして大森については「まだまだこれから自分の型を作って、しっかり上を目指す子なので、どんどん頑張ってもらいたい」と期待を込めた。
また、同じく2連敗スタートとなった炎鵬(金沢市出身)と欧勝海(津幡町出身)、そして初白星を挙げた輝(七尾市出身)など、他の郷土力士たちのこれからの巻き返しにも期待がかかる。名古屋の地で、石川勢の熱い戦いはまだ始まったばかりだ。