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県内初の“緊急銃猟”で駆除…山間部の住宅周辺に『クマ』が出没 指揮を執った職員が明かした緊迫の現場

30日、白山市では山間部の住宅周辺でクマ1頭が出没し市は県内で初めて、自治体の判断で発砲が可能になる「緊急銃猟」で駆除しました。当時、現場では何が起きたのか関係者に話を聞きました。

白山市森林対策課 森和弘課長:
「こちらにクルミの木がありますけどこの下あたりでクマが目撃されました」

こう話すのは、30日、現場で「緊急銃猟」の指揮をとった白山市森林対策課の森和弘課長です。現場となったのは白山市河内町きりの里。30日午後3時15分ごろこの近くに住む住民から「クマがクルミの木の下にいる」と市に通報がありました。

森課長
Qクマを見た瞬間に緊急銃猟の必要性は感じた?
「こういった家が立ち並ぶ地域なので即座に緊急銃猟をしなければ住民の方にとって安全・安心な生活を確保するためには必要だなというのをまず思った」

通報から駆除までの間、クマはほとんど動かなかったといいます。そうした状況でも緊急銃猟を決断した理由は…。

森課長:
「追い払いっていう方法も考えました。ですが今回はクマがいた場所のすぐ上に柵があります。「追い払い」を行うとあの柵を越えずにまた違う場所や集落に向かう可能性も考えられたので今回は緊急銃猟という判断をさせていただきました」

その後、市は警察などと連携して現場の交通規制などを行い通報からおよそ1時間後の午後4時14分、市長の許可を得て、捕獲隊が発砲。オスのツキノワグマ1頭が駆除されました。

今回の駆除に当たっては先月、県と合同で行った訓練が実を結んだといいます。

森課長:
「どういった場所や状況であれば緊急銃猟が可能なのかというのはある程度シミュレーションはしていたので早急に対応できたと思います。今回は初めての試みで緊張した部分はあったんですけど人身被害がなかったというのが一番大事なのでそれがなかったということは良かったのかなと思います」

今回の緊急銃猟について近所の人たちは…。

近所の人:
「餌場を覚えたわけだから、そのクマは。今回追い払ったらまた来るでしょ。またそれをびくびくしながら作業をしなきゃいけない。だから撃ってくれて私個人としては助かっている」

近所の人:
「駆除してもらわないと不安でしたね。安心できません」

こちらの女性は今後もクマが出た場合に備えて庭にある熟す前のカリンの実を落として拾っていました。

女性:「カリンの実もおいしいから食べるだろう」と息子に言われましてそれで実を拾い集めて廃棄しようと思っているんです。(クマは)来るでしょうね、また。雪降るまでかなあ、冬眠に入るまではやっぱり不安ですね」

こうしたクマの出没はいつまで続くのか。クマの生態に詳しい県立大学の大井徹特任教授に聞くと…。

県立大学 大井徹特任教授:
「11月の下旬からクマの冬眠が始まります。個体によって冬眠を開始する時期は少し違うんですけど12月の初旬には一般的には多くのクマは冬眠に入ります。ですから12月の初旬までクマの被害については警戒が必要です」

こうした状況下で気を付けるポイントは…。

大井特任教授:
「家庭から出る生ごみ、外にほったらかしになっているペットフード、あるいは家畜のえさ、こうしたものはクマのエサになって惹きつけます。そうしたものの管理をきちっとすることが一つ大事です。クマは通常12月の初旬になれば多くのものが冬眠しますがエサがあれば冬眠の開始時期が遅くなります。そうすれば被害が発生する可能性がある時期も長期化することになります。そういう意味でも人里周辺のクマのエサになるものの管理は重要です」

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