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仮設住宅に住民が戻り需要が拡大…訪問看護師がみた現場の課題とは

被災地では仮設住宅が完成するなどしてふるさとへ戻る人が増えています。
そこで需要が高まっているのは高齢者の生活を支える訪問看護などの在宅サービスです。
現場を取材すると様々な課題が見えてきました。

5月27日、輪島市西脇町(にしわきまち)。
「おはようございます」
仮設住宅で暮らす86歳の女性のもとを訪ねたのは訪問看護師の中村悦子(なかむら えつこ)さん、64歳。

中村さん:
「(血圧)134の98。ちょっと下が高いかな」

訪問看護師は医師の指示のもと、点滴などの医療処置や定期的な健康チェックを行います。
能登半島地震の発生後は2次避難などで患者数が減少していましたが…

中村さん:
「毎週少しずつお帰りになっている。また元の生活に戻れるようにサービスを提供しています」

奥能登では、仮設住宅への入居が進むなどして訪問看護サービスの需要が戻りつつある一方、職員が離職したり休職したりしていて受け皿が十分ではありません。

「よろしくお願いします」

こうした中、中村さんは今年4月、新たに訪問看護ステーション「リベルタ能登」を立ち上げました。

朝礼の様子:
「おとといから熱が出て、きのう栄養パトロール入ったときに熱はなかったけどふらふらやったね」

現在4人の看護師と理学療法士1人で、奥能登2市2町に住む患者およそ30人をみています。

中村さん:
「穴水の山の中を通った海岸線にも利用者さんがいます、門前にも利用者さんいる現状で、半径30キロから40キロエリアに患者さんがいるという状況ですね」

地震による生活環境の変化は高齢者の体に大きな負担をかけています。

地震発生直後はこんなケースも…

中村さん:
「被災したのがきっかけで寝たきりみたいになって食べられなくなってという状況だったと記憶しています」

ストレスがきっかけで食べられなくなった高齢の男性が福祉避難所で亡くなってしまったのです。

災害関連死が疑われる事例を目の当たりにした中村さん。

この日は、訪問看護に加えある活動も行いました。

男性:
「服の分引くから46・5キロかな。(4月は)48・8キロやってん。ほんできょう46・5やといね」

仮設住宅で食事がきちんと食べられているかなどを聞き取る「栄養パトロール」の      ボランティアです。

中村さんとのやりとり:
「乳製品一日一回食べてる?牛乳チーズヨーグルトなんでもいいけど」
「パン食べるときに牛乳のんでる」
「毎日肉か魚かどっちか食べてる?」

聞き取りの結果、男性は「低栄養」状態だったことが分かり月に2回、訪問看護サービスを受けることになりました。

中村さん:
「これだけ痩せてたら心配だし、1週間じゃ変わらないやろうけど、来月の中ごろにもう一回(来る)」
男性:
「そんなんしていただけたら」
中村さん:
「野菜作っている人は本当にお野菜とご飯だけで生活しているので、私たちはたんぱく質をとろうよって。本人のできることは奪わないつもりですけど、できないことを誰が支援するかはすごく大事だと思ってそういうのをアセスメント(評価)しながら訪問しています」

避難所から仮設住宅へ…被災した人たちが生活再建に向けて進み始めた今だからこそ、高齢者1人1人への見守りが必要だと中村さんは考えています。

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