「直すのではなく新たに創る」能登人を訪ねて…珠洲市三崎町にある絶景のキャンプ場

04/25(木) 17:49

能登に根差す「能登人（のとびと）」を訪ね、復興にかける思いを伺う「能登人を訪ねて」今回は内浦に面した珠洲市の海沿いの町を訪ねました。

（稲垣）
雲ひとつない青空。磯の香り。そして打ち寄せる穏やかな波。春の能登内浦、私の大好きな風景のひとつです。

能登の人は土に生まれ土に帰る。私はそんな能登人に会いに行きます。海岸のすぐそばにあるキャンプ場にお邪魔しました。

（稲垣）
よろしくお願いします。
（濱野達也（はまのたつや）さん）
こんにちは、濱野です。
（稲垣）
綺麗ですね。感動しました。海は綺麗なの知ってますけど、こんな綺麗な所があるなんて。
（濱野さん）
皆さんにそう言ってもらえるんでうれしいです。この海を望める場所に広場がありますね。元々はうちの庭。友だち呼んでバーベキューして遊んでいるうちにキャンプ場になった。

こちらのキャンピングスポット・ハマノは2017年に開業。綺麗な海がすぐ近くにあることから全国のキャンパーが集う人気スポットになりました。DIYが趣味という濱野（はまの）さんがコツコツ作り上げたんです。

（濱野さん）
お客さんにも少しずつ来ていただけるようになって軌道に乗ってきたかなというところで今回の地震。
（稲垣）
恐ろしかったでしょう。
（濱野さん）
怖かったですね。長かったんでね時間がね。止まらない、止まらないって感じで。ずっと揺れが続いたので今までとは違う恐怖がありました。キャンプ場の被害は地割れ、隆起、陥没が至るところで起きました。津波で浜に降りる階段やベンチがさらわれ、残ったのは漂着ゴミの数々。美しかった海辺の景色はありませんでした。建物の大半は基礎から崩れ大きく傾いてしまったそうです。

（稲垣）
海岸沿いにゴミが散乱してますけど。
（濱野さん）
津波ですね。岸近くにあった船が流されて。
（稲垣）
すごい威力ですね津波。キャンプ場どうしようと思いました。
（濱野さん）
キャンプ場やるやらない以前に3年続けて地震きた珠洲にとどまって住むことがどうなんだっていうところから考え始めて。そのうちキャンプ場のお客さんが物資を持って頑張ってくださいってどんどんおいでる。気付いたら（キャンプ場）やる方向に押されて。ここまで言ってもらえるなら、もう一回頑張ってやってみようかなという気持ちになりました。

（稲垣）
土ならししている方がいますけど。
（濱野さん）
キャンプ場の常連さんで何かお手伝いしたいと。整備を手伝ってくれてます。
（稲垣）
どちらから。
（岐阜県在住・永原大輔（ながはらだいすけ）さん）
岐阜から。
（稲垣）
ここのキャンプ場は何回も。
（永原さん）
5回以上は。
（稲垣）
お客さんで県外からボランティアで来るというのはすごいことだと。
（永原さん）
私も家族もこのキャンプ場が大好きで。（地震で）ショックを受けて。実際に現地に行ってお手伝いさせていただきたいという思いがあって。
（濱野さん）
たくさん支援してくださっているんですよ。物資も送っていただいたり。いろいろしていただいた上に来ていただいて。
（永原さん）
このキャンプ場ロケーションもいいんですけど、濱野ご夫妻の人徳あってのキャンプ場なんで。
（濱野さん）
言わせてないですよ。
（一同　笑い）

（濱野さん）
ゴミ拾ったあとに常連さんと歩いて帰ってくるときに「元に戻せないよ」って愚痴ったんですよ。「無理だよ」って言ったら常連さんが「元に戻らないですよ。もっと良くなるんですよ」って言ったんですよ。それがすごく嬉しかったというか、元に戻すことばかり考えてたから無理だと思ったけど、多少形変わってももっと良くすればいいと。その一言で自分の中でスッキリして。じゃあやれるんじゃないって気持ちも前向きに。「もっと良くしてやろう」って感じですかね。

濱野さんの本業は代々続く瓦店。奥能登で屋根工事などを行っています。元々珠洲は瓦産業が盛んでした。奥さんの葉子（ようこ）さんと共に毎日汗を流しています。

（稲垣）
作業するときはどんな思いで。
（葉子さん）
早く直してあげたい。一軒でも、一日でも早く。必要としてくれる所には行ってあげたいと思う。

（波の音）

（稲垣）
津波の時には牙をむいた海ですけど、改めて思おう珠洲の海の好きなところは。
（濱野さん）
透明度が高いんですよね。お客さんが海が綺麗だと喜ばれるんで改めてキャンプ場してから再確認しました。たまたま（珠洲に）生まれただけなんですけど、この環境は欲しいと思ってもすぐ手に入るものではないので。

（稲垣）
この海を含めて今後は（濱野さん）ぜひ足を運んでいただいて、できれば珠洲で買い物もして、珠洲市の能登の復興の助けになっていただければなと思っています。

こちらには全国の常連さんが「押しかけボランティア」に連日駆けつけています。キャンプ場を1日も早く復興させ、濱野夫妻と再び楽しい時間を過ごしたいというキャンパー達の思いをひしひしと感じました。