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クリスマスに人気「阿岸の七面鳥」の飼育施設も甚大被害 続ける決意した農家「店が待っている」輪島市

能登半島地震で甚大な被害が出た石川県輪島市には、全国で三か所しかないという七面鳥の飼育施設があります。その現状を取材しました。

輪島市門前町にある大村正博さんの鶏舎では、200羽の七面鳥が飼育されています。

大村正博さん:
「全く鳥の被害はなかったです。元旦の夕方見に来ました。七面鳥は一斉に鳴くので、鶏舎に入る前に鳴き声が聞こえたので大丈夫だなと。七面鳥は心を癒してくれる、私にとっては鳴き声、その姿は癒しですね」

大村さんが大地震に遭うのは、これが初めてではありません。

大村さん:
「前の地震の時(2007年)は600羽いた鳥は全部焼却処分した。鶏舎の中でコンクリートが割れてそこからみみずとか、水の中にも雑菌が入って、北海道の滝上町から卵を譲ってもらって今がある」

2007年3月、輪島市で最大震度6強を観測した前回の能登半島地震では、床がひび割れ、外敵が侵入して病気がまん延し、600羽いた七面鳥全てを処分せざるを得ませんでした。

あれから17年、なんとかここまで事業を立て直し、クリスマスシーズンといえば「阿岸(あぎし)の七面鳥」とまで呼ばれるようになりました。今回の地震で、七面鳥たちに今のところ被害はありませんが…。

大村さん:
「鳥は水がないと命がなくなるので、水がいつまで地下水が出てくれるか。地下水で七面鳥を飼えているので、それが1番の心配」(外出て)「地割れがあって、地盤が下がっている。(建物の)基礎が全然なくて、壁の部分が浮いているという感じです」

鶏舎の地盤は大きく歪み、中も壁が剥がれ落ちています。施設への被害はここだけではありません。

大村さん:
「冷蔵庫がひっくり返って起こしたんですけど、これでもう廃棄や」

出荷する七面鳥を捌いて保存する加工場は、電気がまだ復旧しておらず、薄暗い中に物が散乱していました。発電機でなんとか冷凍庫を動かしていますが、元通りにするには時間も、お金もかかります。

大村さん:
「これじゃあ保健所の許認可はおりないと思う。ぱっと見てここで肉処理していますと言えるような施設でないので。相当お金をかけないと」

Q.修理費用はどれくらい
大村さん:
「3000万くらいかかる。72歳で3000万の投資はちょっとできないのと、肉は作れても処理ができないとなれば保健所の許認可がおりないと廃業しかない」

廃業も頭に浮かびましたが、大村さんは加工を他の業者に委託してでも、七面鳥農家を続けると決意しています。

大村さん:
「私の七面鳥によって、お店がお客さんを呼んで成り立つという関係なので、やっぱりお店は私の七面鳥を待っている。遅れますけども震災を乗り切った七面鳥なので、味を噛み締めるという意味では、七面鳥を何回も何回も噛み砕いていただいて輪島のことを思って頂ければ幸いです」

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