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笑顔で送るつもりでも涙…輪島市の中学生が白山市に集団避難 中3の息子送り出した母「勇気がいりました」
学校再開の目途が立たない石川県輪島市では、中学生の集団避難が始まりました。子供たちは最大で2カ月間、親元を離れておよそ100キロ離れた白山市で学習に励むことになります。
中学3年生の坂口こころさんは、自宅が全壊し家族4人で避難所生活を送っていました。こころさんは安全な環境に身を置いて勉強するため、今回の集団避難を希望しました。
中学3年生の坂口こころさん:
「きょうはワクワクして朝起きました、友達と会いたかったから。ちょっと離れるのは2カ月と長いけど、心配せずに勉強したいと思います」
坂口さんの母・清子さん:
「頑張って勉強してきてほしいと思います。自分の未来に向かって、周りのみんなと一緒に頑張って勉強してきてほしいと思います」
複雑な思いでこの日を迎えた家族もあります。中学3年生の小住優太さんは、自宅で生活できるものの、高校受験を控えているため集団避難を選択しました。
優太さんのことが大好きな小学生の弟、聡太くんも玄関先で別れを惜しみました。
弟の聡太君:
「頑張ってきてねって(伝えた)。ずっとかまってくれとったから寂しくなるなと思います」
輪島市によりますと、3つの中学校に通うおよそ400人のうち、258人が集団避難することになりました。
優太さんの母・淳美さん:
「おはようというのも、水があるのも、電気があるのも普通だったのに」
優太さん:
「急に生活変わっちゃったね」
先が見通せない中での集団避難。母親の淳美さんにとって、送り出すのは勇気のいる決断でした。
淳美さん:
「今、輪島の中ってお別れがすごく多くて、私の周りはありがたいことに命が大丈夫だった方が多いんですけど、避難された方がいて、もう輪島に戻ってくるかわからない、おうちなくなっちゃったしねという方は結構いらっしゃるんです。子供は巣立っていくっていうのはわかっているんですけど、まだ中学生という時期で子供を手放すのは勇気がいりましたよね」
地震で様変わりした街を見ながら集合場所に向かう優太さん。輪島市は最大で2カ月をめどに中学を再開させる方針です。
優太さん:
「ここに帰ってこられたらいいね」
淳美さん:
「帰ってこれたらいいね、どうなるかは分からんよね。やることやろうよ。自分にできることからするしかないしね。頑張れよ」
集合場所になった輪島市中心部の道の駅「ふらっと訪夢」には、大きな荷物を持った子供たちが続々と集まってきました。
優太さん:
「新しいところに行くワクワクと、みんなと離れるという不安が入り混じって、すごく新しい気持ち、新鮮な気持ちになっています。2カ月間離れるというのは寂しい感じはあります」
母親の淳美さんは、息子を笑顔で送り出すと話していましたが、涙交じり。
淳美さん:
「頑張ってこい」
優太さんの父・夏樹さん:
「楽しんで来い、それしかお父さん言わん。楽しんだもの勝ちや」
父親の夏樹さんも…。
夏樹さん:
「はあ。やっぱりだんだんさみしくなってくる」
優太さん:
「行ってきます」
午前9時、生徒を乗せたバスが輪島市を出発し、白山市に向かいました。
夏樹さん:
「やっぱりさみしいかな。笑顔で見送ろうと決めていたので、笑顔で送りましけどやっぱりさみしい気持ちはあります」
淳美さん:
「私たちも今後どうしたらいいのかというのも難しいことですし、でもその中で子供たちがみんなであったかいご飯を食べて、お風呂にも入れて、また勉強して大きくなって帰ってきてもらえたらと思います」
バスは出発からおよそ4時間半後に、白山市の「白山青年の家」に到着しました。3年生はここで学習し、1、2年生は近くの中学校で学習する予定です。
また県は養護教員を常駐させ、生徒の心のケアや体調管理を徹底するとしています。