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ズバッと解決!リフレッシュ法律相談室

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スタジオに法律のプロをお招きして身近に起きる様々なトラブルについてのお悩みを解決していきます。
今回、私たちの悩みを解決してくれるのはアディーレ法律事務所、池田昇右弁護士です。

CASE①廃墟に入る行為は罪になる?

 

 

 

正解は・・・罪になる 可能性が高い
ですね。みなさんなんの罪だと思いますか?

まず、住居侵入罪は「人の住居に正当な理由なく侵入した場合」に成立する犯罪です。
「住居」とは、人が起臥寝食する場、要するに日常生活に使用している場所。
廃墟に関して言えば日常生活に使用されている訳でもありませんので、人の住居に当たらず、住居侵入罪は成立しないでしょう。

次に、邸宅侵入罪や建造物侵入罪は「人の看取する邸宅、建造物」に正当な理由なく侵入した場合に成立する犯罪です。

「邸宅」とは、住むための建物で住居以外のもの(空き家やオフシーズンの別荘)
「建造物」とは、住居・邸宅以外の建物を広く含みます。(駅構内や太陽の塔)

”人の看取する”とは、他人が事実上管理・支配しているという意味です。
たとえば、管理人、監視員が置かれているとか、施錠されている場合ですね。

本件では、一見廃墟に見えても、邸宅や建造物に該当し、誰かが管理、支配していれば、邸宅侵入罪や建造物侵入罪が成立する可能性があります。
逆に誰も管理、支配していないのであれば、今回は邸宅侵入罪も建造物侵入罪も成立しません。

住居にも、人が看守していない邸宅、建造物にも当たらない廃墟であっても
『正当な理由なく立ち入った場合』には軽犯罪法違反となり、犯罪が成立します。
今回のケースは肝試しのために立ち入っているので、正当な理由であるとは言い難いです。
少なくとも、軽犯罪法違反は成立するでしょう。

 

 

 

CASE②「兄が書いた感想文」

兄が書いた読書感想文を弟が自分の名前で宿題を提出。それがコンクールで入賞しクラスの人気者に。
友人に事の真相を話したところ詐欺罪だと言われました!

 

正解は・・・詐欺罪にならない
ただしコンクール入賞で今回のケース様な金一封をもらっている場合には返還しなければならないでしょう。

まず、刑事上の責任ですが、詐欺罪は他人の財産をだまし取る犯罪です。
財産といえるかどうかは、財産的利益に結び付くか否かで判断できます。
単にコンクールに入賞したことについては、名誉なことではありますが、財産的利益とは言えないので、詐欺罪は成立しません。

さらに、受賞したことによって金一封が出たことについてです。
詐欺罪が成立するためには、財産を得ようという故意が必要です。本件では、やはり詐欺罪は成立しません。

なぜなら『夏休みの宿題を提出したい一心で兄に書いてもらった読書感想文を提出した』だけであり、
『兄の書いた読書感想文を提出してコンクールで入賞し金一封をもらおう』というお金をだまし取る故意がないようにみうけられるからです。
逆に、金一封が出ることを事前に知っていれば、詐欺罪が成立する可能性はあります。

おそらくコンクール主催者側には、最も優秀な作品を提出した人に金一封を出すというような規定があると思います。
その規定に従えば、他人が書いた作品を提出した人には、金一封を受け取る権利はなかったということになります。
不当利得(民法703条)ということになるのでこの賞金は返還しなければいけませんね。

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