石川テレビ

石川テレビ 8ch

石川県内ニュース

「奇跡の十両復活」炎鵬が2連勝スタート デビュー戦の大森も白星―大相撲夏場所2日目、郷土力士たち活躍

大相撲夏場所が開幕し、石川県ゆかりの力士たちが相次いで白星を挙げている。なかでも注目を集めるのが「奇跡の十両復帰」を果たした炎鵬だ。初日に続き2日目も勝利を収め、2連勝スタートを切った。また、穴水町出身の大森が幕下最下位格付け出しでデビューを果たし、初土俵を白星で飾るなど、横綱・大の里不在の夏場所にあって、郷土力士たちの奮闘が際立っている。

夏場所の開幕に際してまず話題となったのが、津幡町出身の横綱・大の里の休場だ。先場所も途中休場していた大の里は、今場所は初日から休場という事態となった。
金沢市出身の元十両・高立さんによれば、「なかなか左の肩が良くならずという話も聞きましたし、コンディションが上がらずに初日に間に合わなかった」という状況で、横綱の状態が深刻であることをうかがわせる。
「ちょっと残念ですけど」と高立さんも残念そうに語り、まずはしっかりと治してほしいという思いを示した。

大の里が不在の中、今場所、注目なのが、奇跡の十両復帰を果たした炎鵬だ。初日の取組では同じく再十両の栃大海を押し出して破り白星発進。そして2日目となる今日は、これまで10度対戦して5勝5敗という互角の相手、白鷹山との一番に臨んだ。

取組は激しい攻防となった。立ち合いでいきなり土俵際まで追い込まれた炎鵬だったが、そこから隙をついて回しを取り、体を入れ替えて逆に相手を土俵際に追い込む。一度まわしは切られたものの引かずに下から相手に当たり続け、最後は寄り切って勝負あり。2連勝を飾った。

炎鵬は高立さんの中・高の後輩にあたる。高立さんは初日の炎鵬の取組について「緊張してというよりすごい楽しんで相撲取れてたのかなというふうに思いますし、下半身の強靭さがすごい光った取り組みになったなあ」と評していた。

高立さんによると、取組の経過はこうだ。立ち合い、炎鵬が先に手を出して相手を一瞬止めるような形で当たった後、白鷹山が前に出てくる。そこで炎鵬の左が深く入り、体が入れ替わった。そのまま炎鵬は前に出続け、白鷹山が相手の上体を起こそうとするが炎鵬は上がらない。最終的には白鷹山が嫌がって炎鵬が押し切るという形になったという。

勝負のカギについて高立さんは、「やはり炎鵬が体の上体を浮かせなかった。休まずに攻め続けたということが、勝ちにつながったのかなというふうに思いますね」と解説した。

体格で上回る相手に対して、姿勢を低く保ちながら休まず圧力をかけ続けるという炎鵬の持ち味が存分に発揮された一番だったといえる。

高立さんの実演解説を聞いたスタジオの岩下さんは「ほんとに技術レベルの話を聞くの初めてで、ちょっと相撲の見え方がちょっと変わったりするのもちょっと楽しいなと思います」と感想を述べた。

これを受けて高立さんも「白黒はっきりする中で、細かい技術もすごい大事になってくるのが相撲だなというふうに思いますね」と、シンプルに見える競技の中に潜む奥深い駆け引きを改めて強調した。

勝ち負けが一瞬で決まる相撲の世界では、姿勢の高低、体の入れ方、攻める手を止めないこと――そういった細部の積み重ねが勝負を左右する。3年ぶりに十両の舞台に戻ってきた炎鵬は、その技術の粋を存分に見せている。

なお、2連勝の炎鵬は明日、幕下筆頭の貴健斗と対戦する予定だ。

もう一人、石川テレビが注目するのが、今場所幕下最下位格付け出しでデビューを果たした穴水町出身の大森だ。本名は大森康弘で、四股名も本名から取った「大森」。

金沢学院大学時代には国民スポーツ大会で個人・団体の2冠を達成。さらに去年11月の全日本学生相撲選手権大会では準優勝という輝かしい実績を持つ。身長180センチ、体重120キロという体格に加え、背筋力は驚異の265キロという強靭な肉体の持ち主だ。

高立さんはこの大森について「組んでもよし、離れてもよし、また大相撲に新しい風を吹かしてくれるかなというふうに見てますね」と期待を込めて語った。

大森の初土俵となった昨日の取組は、幕下60枚目の若雅が相手だった。どこか緊張した面持ちにも見えた大森だったが、立ち合いで一気に土俵際まで相手を押し込む力強い立ち上がりを見せた。しかしそこで決め切れず、土俵の中央まで戻される場面も。その後も距離を取ってくる相手に苦戦したが、最後は冷静に相手の動きを見極め、引き落としで勝負あり。初土俵を白星で飾った。

高立さんによると、大森は右を固めて打ち、若雅は突きの相撲で大森の上体を起こそうとするが大森は起きなかった。喉輪で突っ張られる場面もあったがそれも凌ぎ、最後は回り込んで叩き込みにつなげた。勝負のカギとして高立さんは「大森さんが上体をほんとに浮かさずにしっかり下半身を決めて、相手をしっかり見てたということが勝ちにつながったのかなというふうに思いますね」と解説した。

炎鵬の取組と同様に、ここでも「上体を浮かせずに低い姿勢を保つ」という点が勝因として挙げられた。デビュー戦でも動じることなく自分の相撲を取り切った大森の成熟ぶりが光った一番だった。

他の石川県ゆかりの力士たちも結果を残した。

津幡町出身の平幕・欧勝海は竜電を寄り切って初白星。七尾市出身の十両・輝は白熊を引き落としで下し、こちらも初白星を挙げた。

一方、幕下では白山市出身の豊雅将が苦しいスタートとなった。先場所、三段目で7戦全勝を果たしてこの夏場所に臨んだ豊雅将だったが、豪ノ湖に上手出し投げで敗れ、黒星発進となった。

横綱・大の里不在という寂しさはありながらも、炎鵬や大森をはじめとする郷土力士たちの奮闘が夏場所を盛り上げている。

炎鵬への期待を問われた高立さんは「怪我なく、15日間しっかり自分の相撲を取り切ってもらって、まずは勝ち越しを目指して頑張ってもらいたいですね」と語った。復帰の道のりは決して平坦ではなかっただけに、無事に15日間を全うすることへの願いが伝わってくるコメントだ。

大森については「デビュー場所なので、ういういしく暴れてもらいたいですね」と笑顔を交えながら話した。組んでよし、離れてよしという多彩な相撲スタイルを持つ大森が、初めての本場所でどこまで存在感を示せるか。地元・穴水町や金沢学院大学ゆかりの人々にとっても注目の15日間となりそうだ。

大相撲夏場所は始まったばかり。郷土力士たちの取組から目が離せない。

最近のニュース