穴水町出身の大森選手、大相撲へ挑戦！全日本相撲選手権準優勝の実力者「強くなることが自分の望み」

12/15(月) 19:16

今年も県内を大いに沸かせた大相撲の世界に来年挑戦する大学生がいます。その素顔と最後の大会の様子を取材しました。

今年、横綱に昇進した大の里を始め、新入幕の欧勝海、そして十両の輝と多くの郷土力士が活躍した今年の大相撲。そんな相撲王国・石川から来年、大相撲の世界に挑戦する注目の逸材がいます。

金沢学院大学4年の大森康弘選手です。身長185センチ、体重120キロと鍛え上げられた体を武器に学生相撲を席巻。

その実力はこの人も認めるほどです。

元小結・遠藤　北陣親方:
「センスもありますし魅力を感じています。」

今回はそんな大森選手の学生最後の大会に密着。

金沢学院大学相撲部。全国大会でも常に上位に入る強豪校です。そんな強豪でキャプテンを務めている大森選手。大会2日前だったこの日も、入念に汗を流していました。

大森選手:
「（稽古は）週6くらい。無理している感覚はないです。日々、稽古を通して強くなることが自分の望みなので…」

穴水町出身の大森選手。相撲を始めたのは、小学1年生の時でした。

大森選手:
「校内相撲大会で優勝したときに誘われて気が付いたら（相撲教室に）入部していました」

そこから6年生まで相撲を続け、県大会で入賞するなど結果は出ていたといいますが…。

大森選手:
「（相撲を）やりたくないなと思っていたので1回ほかのことをやってみたいと思って野球をやっていました。」

中学では相撲から離れ、野球に打ち込んでいた大森選手でしたが…。

Q　高校で野球を続けようと思わなかった？
「あまりその時は考えていなかったですね。格闘技をやって強くなりたいなって。」

「強くなりたい」。その一心で再び相撲を始めた大森選手。強豪の金沢学院大学附属高校に進学します。

高校から大学までの7年にわたって大森選手を指導した大澤総監督は入学当初の印象について…。

金沢学院大学　大澤惠介総監督:
「動きがすごく速い選手ででもここまで強くなるとは思っていなかった。もっと時間がかかるのかなと。」

しかし、大森選手は周囲の予想を上回るスピードで成長。高校3年生の時にはインターハイと高校相撲金沢大会で全国2位に輝きました。その実力を認められ、大の里の出身校、日本体育大学や同じ穴水町出身で元小結・遠藤の北陣親方が通っていた日本大学からもオファーがあったといいますが…。

大森選手:
「強豪校を倒す側の方が面白いかなって…」

そのまま金沢学院大学に進学。3年時にはその言葉通り、強豪校を次々と倒し国民スポーツ大会で個人・団体の2冠に輝きました。その強さの秘密を大澤総監督に聞くと…。

大澤監督:
「なんといってもスピードですね。あとはパワー。体が強いですよね。筋力もあるし、体も大きい。天性のものだと思います。」

一方で大森選手には苦手なものもあるようで…。

大森選手:
「一応、大盛で行きます」
Q　今、お腹は減っている？
「あんまり減っていないです」
「いただきます！」

食事です。

大森選手の体重は現在120キロと相撲界では、まだまだ軽量級。そのため一日四回の食事で体重を増やそうとしているといいます。

Q　相撲部ではよく食べる方？
「飯は弱い方です。食べるのは好きですけどめっちゃ食べられるっていうキャラではない。午後3時くらいに米を3合食べました。だからお腹が空いていなくて…」

それでも1時間ほどかけて、箸を進めると…。

「ごちそうさまでした！」

大森選手がこの2日後に出場するのが全日本相撲選手権大会。全国各地の大会で優秀な成績を残した選手たちが出場するアマチュア最大の大会です。

大森選手にとっては学生相撲最後の大会となります。

大森選手:
「周りの人たちへの感謝の気持ちを相撲で表現できたらいいなって思っています。」
Q　目標は？
「優勝で！」

そして迎えた大会当日。会場の両国国技館には社会人・大学生・高校生、あわせて80人の選手が集結しました。今年は大会2連覇中だった七尾市出身の池田俊選手がまさかの欠場。優勝候補の筆頭がいなくなり誰が勝つか読めない展開の中大森選手は…。

予選を3連勝で突破。決勝トーナメントに駒を進めます。

大森選手:
「勝ち上がれたのでひとまず良かったです。とにかく一番一番、最善を尽くしてやるだけです。」
Q　決勝トーナメントのライバルは？
「そこまでいないですけど。自分ってことにします。頑張って優勝を目指します。」

決勝トーナメントにはほかにも石川県から注目の選手が…。

実業団クラブの名門、ソディック所属で大森選手と同じ穴水町出身の三輪隼斗選手です。身長175センチ、体重110キロとけして大柄ではない三輪選手。それでも世界大会での優勝やこの大会での準優勝などアマチュアでもトップクラスの実績を残している選手です。

順調に勝ち進みベスト4まで残った2人は準決勝で対戦することに。穴水町出身の２人の取組が両国国技館で実現しました。

準決勝では、突き出しで三輪選手を破り同郷対決を制した大森選手が初の決勝進出を決めました。

その決勝の相手は…日本大学の鮫島輝選手。身長185センチ、体重160キロという大相撲顔負けの体格を武器に1年生ながら決勝進出を決めました。

迎えた決勝戦。どちらが勝っても初優勝です。

立ち合い、もろ差しから一気に攻められるとそのまま寄り倒され、アマチュア横綱にはあと一歩届きませんでした。

「準優勝者の表彰です。金沢学院大学、大森康弘さん」

学生最後の大会は黒星で終わったものの大森選手の表情は晴れやかでした。

「悔しいです。でも全体的に力を出せて楽しめていたと思うので（きょうの相撲は）50点で決勝も勝てたら100点だったかな。」

卒業後は大相撲の道に進む大森選手。その相撲人生はまだまだ始まったばかりです。

Ｑ　大相撲では何点を目指す？
「200点で、（目標は）全勝優勝です！」