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石川県でクマ目撃369件、過去3番目の多さ 「冬眠しないんだって感じ」専門家が警告する人里の餌問題
全国でクマの出没が相次ぐ中、石川県内でも目撃件数は過去3番目に多くなっています。クマによる人身被害を未然に防ぐため自治体の対応とは?そして専門家が語るリスクとは?。
雪の中を走り回るクマ。先週土曜日、札幌市内で捉えられたクマの映像です。
「軽自動車みたいなクマでびっくり。目撃したのは初めて。「冬眠しないんだって感じです。」
一方、石川県内では被害者は出ていないもののクマの目撃情報が相次いでいます。
「こんな感じでここが一番怖いですけど。」
今年10月、白山市小柳町では事務所にクマが出没。クマの生々しい痕跡が残されていました。地元の人は、「幸い誰もいなくて無人のところに怖かった。(人が)いなくてよかった。」
今年8月、県などはクマの餌となる木の実のなり具合を調査。その結果、クマの目撃件数が過去最多だった2020年と同様ブナの実は「大凶作」になると予測。このため、県は今年9月、クマ出没警戒情報を発令しました。
今年に入り県内でのクマの目撃情報は11月末までで369件。統計を取り始めた2005年以降過去3番目に多い数字です。
クマによる人身被害を防ぐため自治体では日頃どんな対応をしているのでしょうか。
先月までに60件以上クマの目撃情報が寄せられた加賀市の現地調査を取材しました。
加賀市職員:
「これも足跡が残っています。」
市の職員が向かったのは周囲を山に囲まれている加賀市南郷小学校近く。「学校のグラウンドから山に向かって移動するクマを目撃した」と通報があった場所です。
調査に当たる職員が現場で最初にすることは…
加賀市農林水産課 山岸由紀夫さん:
「まず上を見て、そこに(クマが)いるかいないか見てからそれから下を見る。」
周囲に動物がいないかや、安全に調査ができるかの確認です。
その上で、現場で調査する項目を示したリストを基に動物の痕跡を捜します。
山岸さん:
「現場の確認状況として痕跡の状況。足跡があるかないか移動方向どこから来てどこに行ったかその移動方向を示す痕跡があるのかというのを調査。そして誘因物ほとんど野生動物は食べ物を求めて来ていますのでそういったものがこの現場にあるのかないのか。」
現場に残された足跡を探しながら動物がどこから来てどこに行ったのかを予測します。
「ここがたぶんほぼ毎日上り下りしているところ。」
Q この茶色い部分が?
「そうです足滑りながら上にあがっている感じですここは完全にイノシシの足跡です。」
調査の結果、この現場で目撃されたのはクマではなくイノシシだったことが分かりました。
「こっち側に全然足跡ないのでたぶんこの下かそこに墓があるんですがそちらのほうから来ているんじゃないかなと想定はしています。」
山岸さん:
「周辺を歩いて回って見ることしかできないけど、今回はイノシシだったので誘因物(ミミズ)がすぐ裏のグラウンドにあることが分かったんですが、例えばこれがクマですとやっぱりカキやクリそういったものがどこにあるのかを見て回ってそのカキの木に登った痕があるとかないとかそういったものを調べています。」
目撃地点から半径50メートルの範囲を調べ調査完了には1カ所で30分ほどかかるといいます。
危険を伴う現場調査ですが人員不足のため現状1人で行っています。しかし、こうした情報収集の積み重ねがクマや野生動物の対策につながっています。
山岸さん:
「もともとはクマ出たよというお知らせで終わっていたんですが、結果やっぱり危険が迫ることもありますので、どこから来てどこへいったかどこに檻を設置すればいいかというのも、こちらでもやっぱり考えて猟友会とも連携しながら進めていくのがこの(有効なクマの)対策かなと思っています。」
加賀市では現場調査の結果、再びクマが出没しそうだと判断された山間部に監視カメラや捕獲檻を設置します。今年は市内に11基の檻を配置し16頭のクマを捕獲しました。
加賀市鳥獣害対策室 田中慎一室長:
「たくさん捕獲しているというところで加賀市の方にいるクマ自体が少し減っていると考えることもできるのかなと思っているところです今後も市民の方の安心安全を確保するためには捕獲に力を入れていくということが重要なのかなと思っています。」
一方、今年10月、白山市では…
近所の人:
「ボーンと大砲みたいな音でびっくりした。」
白山市河内町きりの里では住宅からほど近い山間部で体長1メートルほどのクマが出没。自治体の判断で発砲が可能な緊急銃猟が県内で初めて実施されました。
白山市森林対策課 森和弘課長:
「どういった場所や状況であれば緊急銃猟が可能なのかというのはある程度シミュレーションしていたので早急に対応できたと思います。」
今年、県内ではクマの目撃情報が相次いでいますが幸いにも人身被害は発生していません。
石川県立大学の大井徹特任教授はクマの餌の状況が影響していると言います。
石川県立大学 大井徹教授:
「ブナの大凶作を他のどんぐり類が補って山の中には餌がいくらかあるという状態になっています。そのためクマの出没が抑えられていると考えられる。」
県の調査ではミズナラが「豊作」、コナラが「並作」と予測されていました。このため、人里に出没するクマが少なく今のところ人身被害にはつながっていないと言います。
しかし、クマの冬眠が近づくこの時期も油断はできません。
大井教授:
「クマは通常12月初旬になれば多くのものが冬眠しますけども餌(柿や生ゴミなど)があれば冬眠開始時期は遅くなります。そうすれば被害の発生する可能性のある時期も長期化するということになります。その意味でも人里周辺のクマの餌になるものの管理は重要です。」
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