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地震で水田には大きな被害…田植えまでこぎつけるも農家が抱える不安

5月に入り、被災地でも田植え作業が始まっています。
地割れや水漏れなど様々な被害を受けながらもようやくこぎ着けた田植え。
しかし、農家は多くの不安を抱えています。

5月5日、七尾市の大門地区。
約10ヘクタールの棚田が広がるこの地区でも田植えが始まりました。

宮本信子さん:
Q田植え日和ではありますよね「でもちょっと暑いね。晴れてよかったけど」
Qいつもなら田植えにどのくらいかかるんですか?「2日くらい」
Q今年は…「1日で終わります」

この地区で10年以上米作りをしている宮本信子さん。

田植えが1日で終わる理由…それは。

宮本信子さん:
「例年より5枚少ない。災害なので仕方ないですけど…。(田植え出来るものは)業者の方に割れているあぜを直してもらったのと、へこんでしまった部分に砂を入れてもらって、とりあえず田植えが出来る状態にはなったけど、この田んぼより上は全然作付けできない状態」

宮本さんが持つ棚田は12枚。

このうち5枚は地震で大きな被害を受けました。

宮本さん:
Q水を張ってみたんですか?「張れないですね、水張ると四方八方から水が出るような感じで。水張ったって下がっているところにしか水が溜まらないです」

地震で表面が波打った田んぼ。

平らでないため、水が均等に行き渡りません。

畝に少しでも亀裂があれば水を張ることもできないのです。

この地区では全体のおよそ3割の棚田に被害が出ました。

全く被害がなかった農家はいません。

農家:
「ここの3枚はあぜが下がったので、のりを削ってあぜを作って高さを調節した」
Qあのちょっと乾いた土のところ?「そう、色の変わったところ」
Q土を盛ったってこと?「そう、あぜを上げて水を溜める」

農地の比較的小規模な復旧については県と七尾市合わせて最大40万円の補助金を出しています。

大門地区では全部で16か所、330万円の補助金を使ってあぜの修理や砂の補充などを行いました。

農家:
Q砂を入れるのって田んぼにとっては良くない?
「良くないけど、砂を入れて少しでも基盤を安定させないと」

田植えをするためには早く直さなければならず苦渋の決断です。

農家:
「(土がもろくて)今でも水が下へ染み出ているから、土手が欠けないか?と思うけど。秋にもう一度修理しないとだめ。今年は作付けせんとこうかなと思っていたけど、手を入れてくれるって言っていたから、遊んどるわけにもいかんし」

ようやくこぎつけた田植え。
しかし、田植えができない場所があるため農家にとってすでに収入が減ることは確定しています。
宮本さんの場合、去年より少なくとも50万円は収入が減るといいます。

宮本さん:
「農協とかに出荷する米の数がグンと減りますね。(1袋30キロが)80袋くらいは影響が出ると思う。(作付け作業が)少ないことに越したことはないというか、楽っちゃ楽だけど…」

地震によって思いがけない影響があるかもしれず今後、稲が順調に育つかどうか誰にも分かりません。
農家にとって田植えは復興への第一歩ですが不安な気持ちは拭い去れません。

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