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建設会社の支店を地元に…「住む場所」を提供するため自身も被災した男性が発起人に

能登半島地震で被災した人にとって「住む場所」をどうするかは大きな課題です。

そんな被災者の悩みに寄り添おうと自身も避難所生活を続ける男性が勤務する建設会社に働きかけ、新たな事業を始めることになりました。

山本さん:
「こんな感じですね」

七尾市田鶴浜(たつるはま)の避難所で暮らす山本直樹(やまもと なおき)さん。
3畳もないこの場所が山本さんの生活スペースです。地震の発生から4カ月以上、妻と2人でこの生活を続けています。

山本さん:
「「ただいま」みたいな感じ。ここで着替えたりもしてますからプライバシーはないな」

七尾市三引町(みびきまち)にある山本さんの自宅は罹災証明で半壊と判定。
壁や床が崩れてしまいもう住むことができません。

山本さん:
「戸が開かない…」

江戸時代末期から代々受け継いできた自宅の解体を決断しました。

山本さん:
「私はここの長男ですし、家を継いだ身としては家を残してあげられれば一番いいかなと思ったんですけど今、生活していくうえでちょっと大変なので一旦なくそうかなと思っています」

能登半島地震で最大震度6強を観測した七尾市では1万3000棟を超える住宅が被害を受けました。
仮設住宅に入っても住むことができるのは原則2年間。
その先、どのように暮らすのか住民それぞれが選択しなければなりません。

「お久しぶりです!」
山本さんと同じ避難所に身を寄せていた大森秀次(おおもりしゅうじ)さん。
自宅は罹災証明で半壊と判定されました。
新たな家の建て替え費用などの相談に乗っていたのが山本さんだったといいます。

大森さん:
「今のところの予定は家を壊して小さい平屋でも建てようかなと。建築関係のことは何も知らないから本当に最初から全部教えてもらっている」
「3カ月も、4カ月も一緒にいたから家族みたいなもん」
「同志っていうか仲間っていうか家族っていうかそんな感じですよ」

山本さんの仕事は建設会社の営業。

富山県高岡市(たかおかし)を中心に公共工事や住宅の建築などを手がける「塩谷(しおたに)建設」で働いています。
避難所生活の中で地域の人たちが「住む場所」に悩む姿を目の当たりにした山本さんは会社にある提案をしました。

橋田専務:
「彼の方から「七尾の方が大変なことになっている、地元の人に安心して暮らしてもらうための協力をしたい、そのために七尾で支店を開設したいがなんとかならないか」と相談を受けました」

提案からわずか2週間、七尾市に支店を設けることが決まりました。
支店長は山本さん。
住宅の建築に特化した支店は会社としても初めてのことです。

山本さん:
「急いで何かやるっていうよりもみなさんはまだ先が見えていない状況なので寄り添っていく。皆さん悩んでらっしゃるのは間違いないのでどれだけ寄り添えるか県外の企業にはなるんですけど同じ北陸ということでできる限り企業としてやっていきたいと考えています」

支店の開設は6月15日を予定。
「住まいの窓口」と名づけ、建て替えやリフォーム、土地の売買など生活の再建に関わる様々な悩みを気軽に相談できる場所にする予定です。
さらに従業員を能登在住にして雇用の創出にも繋げます。

山本さん:
「人が入りやすいような間取りにしてお子様連れで来ても「ちょっと座っていこうかな」と言うような入りやすい感じにしようかなと思っています」

6月、山本さん自身も生活再建に向けて新たな一歩を踏み出します。
仮設住宅への入居が決まったのです。

山本さん:
「ここの避難所にいる人も全員が全員仮設住宅に入れるわけじゃなくて何軒かは「このあとどうしよう」という方もいらっしゃるので大手を振って喜ぶことがちょっとできない。なんか申し訳ないなって。ここにいる全員で仮設住宅に入りたかったなというのが正直なところですね」

山本さんが願うのは地域の人たちが安心して暮らすことができる環境を取り戻すこと。
被災した自分だからこそできることがあると山本さんは考えています。

山本さん:
「私も七尾の人間で七尾で育ったので(被災した人も)なんとか七尾にいてもらいたいですし人口流出っていうのを止めたい。少しでも一役を担えれば最高だなと思います」

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