重機やコンクリ等使わず…能登半島地震で崩れた斜面を“自然の力”で修復 長期的な森の再生の意義と課題

04/22(月) 16:00

能登半島地震では土砂崩れが多数起きています。

こうした中、コンクリートなどを使わず能登の森を自然の力で再生させようとボランティアが奮闘しています。

能登町本木（ほんき）にある民宿「土とディスコ」

能登半島地震で裏山が崩れました。

土とディスコ　田村早苗さん：
「完全にあんなんじゃなかった、あんなえぐれてなくて普通に斜面て感じで」

すぐに被害が拡大するわけではないことから地震からおよそ3カ月半経つ今も手つかずのまま。

そこで修復を頼んだのは、村里ゆうきさんです。

村里さん：
「この山の斜面自体を強くする作業をする。森って水の道と空気の道が大事で、ここに水の道と空気の道を作ってあげて、すると微生物が分解しやすくなって、木が生えてくる、自然の力で森を回復させるというのをやっている」

横浜の森林保護団体「森のたね」の代表で林業に携わっている村里ゆうきさん。

宮城県石巻の森でも7年前から森作りの復興支援を行っています。

その特徴は、重機やコンクリートなどを使わず自然の力に頼る長期的な森の再生です。

村里さん：
「今歩いたところってすでに溝を掘ってこういうの（木の枝など）を埋めてある。
これが微生物のご飯になる。まずは土を掘りこんで水が土の中を通るようにしてあげる。微生物も増えるし土がふわふわになって植物が生えやすくなる」

崩れた部分をコンクリートで固めると水や空気の流れが止まり、溜まった水が腐って木が生えづらくなります。

そうすると木そのものが死に倒木や土砂崩れの原因となるそうです。

一方、葉っぱや丸太など自然のものを使えば土に水と空気が行き渡り、栄養のある土が出来上がります。

そうすることで新たに木が生え、その根が広がることで森自体が強く、崩れにくくなるといいます。

村里さんによると、半年で見た目に変化が現れ、3年もすれば立派な木がたくさん育つそうです。

しかし、能登の森にはこんな課題も…

村里さん：
「ツタ系の植物って木を殺す役目がある。能登って見てもらうとツタがぐるぐるぐるって巻いてる木が多くて、あれもそうです。自然がこの木はもう殺そうっていって藪になってツタが育つと木が倒れやすくなる。それでバンって倒れて電線を切っちゃう」

人手不足で管理が行き届かず、能登はツタが張った木が多いといいます。

森を今後どう管理していくかも課題の一つです。

田村早苗さん：
「いやあすごい、こんなんは自分でやり方も分からないし、役場とか公共のところに相談もしたけどまったくあんまり、まあ大丈夫でしょう、今すぐにどうとでもなんないと思うのでみたいな感じやったけどめっちゃありがたいです」

村里さん：
「自然と会話をして落としどころを見つけること。全部自然の都合に合わせていたら人の生活があるから、土砂はどかした方がいいし、道路は通した方がいいとかあると思うけど、自然の都合と人間の都合を合わせて良い森になっていくといいなあと」

1次産業が盛んな能登の復興に欠かせない森作りのあり方。

長期的な視点での取り組みが必要です。