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B3に所属する金沢武士団が最終戦…練習拠点は一時避難所に・被災地と共に歩んだ今シーズン

バスケットボールB3(びーすりー)リーグに所属する金沢武士団(さむらいず)。

7日今シーズン最終戦を迎えました。

七尾が練習拠点の金沢武士団。

多くの試練があった今シーズン。選手とブースターの思いに迫りました。

7日行われた金沢武士団(さむらいず)の最終戦。

会場は武士団の練習拠点、七尾市の田鶴浜体育館です。

コートに立つ選手、そして応援するブースターにとって大切な一戦となりました。

元日に発生した能登半島地震。

七尾市は最大震度6強を観測しました。

武士団が練習していた田鶴浜体育館は避難所に。

そんな避難所を支えていたのは…。

選手たち:
「おいしくなーれ」

武士団の選手やスタッフです。練習どころではありませんでした。

1月下旬。

リーグまっただ中の武士団は野々市市や白山市で体育館を借りて練習を再開しました。

しかし、選手の思いは…

久保拓斗選手:
「バスケットするのが我々の仕事なので集中しないといけないんですけど頭の片隅に被災された方だったり避難所で生活している方を思い出すと自分たちは安全なところに来て好きなことをしていていいのかなっていう葛藤は日々ありました」

2月に入り公式戦が再開。

選手たちを後押ししたのは、田鶴浜体育館で避難生活を続ける被災者です。

会場となった岐阜県まで応援バスで駆けつけました。

田鶴浜体育館で避難している坂口美由紀さん:
「選手たちが一丸になっていた気がして、すごい気持ちが伝わってきて元気をもらいました。前向きにならないとって思えるようになったかな」

さらに久しぶりに県内で開かれた試合では。

小松市で2次避難している人が招待されました。

小松市に2次避難している松本石根(まつもと いわね)さん:
「輪島の友人たちや知人たちともここで偶然出会えたのでこういう機会があってすごくよかったと思います」

能登半島地震の発生から3カ月、被災者とともに戦ってきた金沢武士団。

シーズンのしめくくりは練習拠点の田鶴浜体育館です。

金沢武士団 田中翔大キャプテン:
「僕たちが毎日練習させていただいた場所で最終戦を迎えられるということはありがたいことですし、こうして試合ができるのも全国各地で募金活動だったりいろんな支援があってのことだと思うので感謝の気持ちを忘れずに、チーム一丸となって戦っていきたいと思います」

4月4日。

多いときに200人が身を寄せ合っていた田鶴浜体育館は2日かけて公式戦ができる会場に生まれ変わりました。

そして…

選手:
「おはようございます」「元気でしたか?」
住民:
「なんとかね、翔大くんは?」
選手:
「めっちゃ元気です。会いたかったです」
住民:
「私も会いたかった」

およそ2カ月ぶりに武士団が田鶴浜に戻ってきました。

田中翔大キャプテン:
Qいかがですか?
「すごいっすね、まさかここでまたバスケットができるとは思っていなかったです。まさかこうして試合ができるなんて思ってなかったです。(ここで)バスケットをしたのは震災前なので…なんかすごいっすね」

田中志門選手:
「自分たちが練習していた時とは全然違う感じなのでちょっと驚いています。やっぱり感謝の気持ちが一番でかいですね。それをプレーで見せたいなと思います」

久しぶりの練習再開に地元も大喜びです。

田鶴浜体育館で避難生活を送っていた中村吉成さん:
Qお仕事は?
「早退してきました。率直にうれしいです」

田鶴浜スポーツクラブ長田次夫さん:
「やっと来たなって感じやね。選手の声を聞いたりボールの音を聞くと元気になりますね」

選手を待ちわびていた人がもう一人。
現在も避難所生活を送る山本美保(やまもと みほ)さんです。

山本美保さん:
「朝一番に来るのは田中翔大くん、キャプテンの子。練習開始が10時だとしたら8時前には来ていた」

山本さんは震災前から田鶴浜体育館を管理するスタッフとしてチームを一番近くで見てきました。

山本さん:
「こうやってここで試合ができるってことは本当に…。すごく感慨深いというか…」

ほんの1カ月前まで避難所だった田鶴浜体育館。

日常への一歩です。

そして迎えた最終戦。

相手は10位と格上のアースフレンズ東京Zです。

田鶴浜体育館に駆けつけたブースターは両チーム合わせて641人。

このうち、まだ避難生活を続けている人は200人ほどいます。

山本さんも夫の直樹さんとともに声援を送ります。

山本直樹さん:
「被災したみんなに元気を与えてくれるようなプレーをしてもらえれば1番いいのかなと思います」

山本美保さん:
「一人ひとりが自分の全部を出してほしいと思います」

序盤から武士団の選手が躍動します。

金沢市出身、久保の2連続シュートで幸先良くスタートします。

しかしそこからは相手のペースに。

最大15点差をつけられ前半を12点ビハインドで折り返します。

しかし、このままで終われない武士団。

久保の連続得点などでじわじわと点差を縮めると…。

このプレーで逆転します。

しかし…

67対86。

金沢武士団は6勝38敗となり最下位で今シーズンを終えました。

田中翔大キャプテン:
「点数が離れそうなときにも皆さんの拍手や声援で僕らの流れになりましたし本当に応援が力になりました。こうして田鶴浜体育館に帰ってこれたのもご支援があってのことなので感謝の気持ちを忘れずにまたバスケットを続けていきたいなと思います」

美保さん:
「また明日から現実ですね。現実が待っています。でも我が子のような子たちが頑張っている姿を見るっていうのはうれしいし、楽しいし応援しがいがあるしこれからもまた応援していこうと思っています」

七尾市田鶴浜を拠点に活動する金沢武士団。

これからも被災地とともに歩みを進めていきます。

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