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家は潰れたまま 道路も下がったまま…町長「町民の思いと協力必要」石川県能登町の復興に向けた現状と進捗
能登半島地震で石川県の能登町は最大震度6強を観測し、8人が死亡、35人が重軽傷を負いました。
襲った津波は、能登町白丸で県内で最も高い4.7メートルの高さと推定されていて、住宅への被害は全壊半壊など、あわせて6086棟に及んでいます。
依然として679人が町内37カ所の避難所で生活していて、およそ2950戸では断水が続いています。(※数字は2月27日午後2時時点)
能登町の大森凡世(かずよ)町長に、町の現状や仮設住宅の進捗、基幹産業の漁業の復興、祭りの今後などについて話を聞きました。
地震の発生から間もなく2カ月が経ちますが、町の現状について大森町長は「国や県、多くの関係自治体、事業者から応援を受けながら一歩ずつ復旧が進んでいる」と感謝の気持ちを示しました。
しかし、「街の現状は家が潰れたまま、道路が下がったまま、段差がついたまま、宅地と道路の間が空いていて、見た目は全然変わってない」とし、「長期的に震災の対応に向き合っていかなければならないと思っている」と話しました。
仮設住宅の建設について、まだ場所も決まっていない地区があるということについては「避難生活に区切りをつけるためには、応急仮設住宅の早期の着工というのが不可欠」とし、県と連携しながら候補地の選定や、早期の着工・完成に向けて対応を進めていて、「住民の皆様も、いつ頃どこに完成するのかという情報が知りえれば今後の励みにもなると思うので、ぜひお知らせできるように最大限努力していきたい」と説明しています。
能登町は被災自治体の中でも、建物の公費解体の受付を最も早く始めましたが、大森町長は相談件数は徐々に増えてきているものの、実際の申請を受け付けた件数についてはまだまだ進んでいないという見方を示しました。ただ、今後は罹災証明の発行が進み、「件数も伸びてくるのではないか」としています。
また、出張相談などもする考えを明らかにし、「工夫して取り組んでいきたい」と話しています。
能登町の特産の1つに小木港のイカがありますが、津波によって漁船や設備が損傷する被害が出ていて、町の漁業についても今後が心配されています。
大森町長は「漁業は能登町の重要な基幹産業」とし、「漁港が全て被災し、以前のように水揚げできる状況ではないため、早急な港の仮復旧を国や県に依頼している」と対応について説明し、「生業の再建は復興に直結するので、国や県の支援をいただきながら、支援をしていきたい」と考えを示しました。
能登町ではこれまで、祭りが各地で盛んに行われていて、2023年には4年ぶりに「あばれ祭」が通常の規模で開催されました。
今後の祭りについては「各地域や氏子の皆さんが決定するものだが、こういった状況の中でどういった思いでおられるのかということを聞きながら、同じような開催規模にはできないかもしれないが、工夫をしながら取り決めていただいて、ぜひ何らかの形で開催に向けた動きがあると、活気が生まれると思っている」と再興へ期待をしています。
復興に向けた今後については「小さな規模の自治体でありますので、中長期的な復旧復興に向けて金銭的、人的支援というのが必要になります。ぜひ全国の皆様には息の長い温かいご支援をいただきたい」と話しました。
最後に、能登町民に対しては「これまで大変なご不便をおかけしておりまして非常に心苦しく思っていますが、今後の復旧復興に向けては町民の皆様の思いと協力が必要になります。一緒に能登に活気を取り戻すようにしていきたいと思っております」とメッセージを送り、県内や全国に対しては重ねて「これまで多大なご支援をいただきました。このご恩を決して忘れることなく、必ず能登を復興する気持ちで頑張ってまいります。落ち着きましたらぜひ、能登へ足を運んでいただきたい」と感謝と今後の支援を呼びかけました。