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「単に元に戻すことではない」能登地震から1カ月 “東日本”の復興で専門家が評価する宮城の町の成功例
能登半島地震から1か月が経ちました。今後の街づくりはどうあるべきか。東日本大震災のケースでの成功例を専門家に聞きました。
地域経済専門のエコノミストで、七十七リサーチ&コンサルティングの田口庸友(やすとも)さんは、東日本大震災で被災した宮城県の復興を見てきました。
今後については「復旧後の地域の中長期的な展望に立った『持続可能な街づくり』を目指すべき」と指摘します
田口庸友さん:
「時間がたてば人が戻りにくくなるということは(東日本大震災と)同じだと思いますので、スピード感を持った復興対応が優先されるべきだと思います」
東日本大震災からの復興では、様々な被災者の思いを感じたといいます。
田口さん:
「中には戻りたくない人もいますし、ここで暮らしたい、いろんな住民の思い、被災者の中でも色んな思いがあった。全て叶えてあげることが理想ですが、実際には難しい」
中でも心配なことは、孤立化や孤独死などの問題です。
田口さん:
「高齢者の単身世帯が増えていますし、今後も増えていくと考えられますので、1番怖いのは孤立化・孤独死といった問題で、これを防ぐような仕組みや仕掛けが街づくりの中に入っている必要がある」
成功例としてあげたのは山元町(やまもとちょう)や女川町(おながわちょう)などで実践した、コンパクトシティです。
田口さん:
「過疎地が多くて車が手放せない、車社会が多いと思いますが、これは震災被害があってもなくても将来的には高齢者が車を運転することができなくなる可能性がある。そういった時に買い物難民になるということがないように、商業施設や医療機関といった、生活のミニマムな機能を備えた小さな拠点といったものを作って、歩いて暮らせる街づくり」
山元町はJRの駅を新たに高い所に設置し、その周辺に団地を造って街づくりをしているといいます。
田口さん:
「まさに車を手放しても暮らせる街づくりができている。復興とは単に元に戻すことではない。新しく作り出して未来に向けて町を続けていくという発想に立って、街づくりを進めてきて上手な街づくりができたところだと思います」