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被災地で“民間の救急車”が活躍…施設入所者の移動などを支援 災害関連死を防ぐための地道な取り組み
能登半島地震で石川県では、これまでに災害関連死の疑いが14人に確認されていて、2次避難が呼びかけられています。被災地では今、介護施設の入所者を金沢市などの施設に移すため、民間の救急車が活躍しています。
輪島市にある高齢者向け介護福祉施設「百寿苑」は、2階全体が地震により壊滅的な被害を受けました。そのため、一時およそ100人の入所者が1階のフロアに身を寄せ合って生活をしていました。
百寿苑の田上美和子さん:
「被災してからもう半月ほど経つんですけれども、今までの状況というのは衛生面的に考えると非常につらい状況だったと思います」
こうした状況を改善するため、入所者を金沢市などの施設に移していく必要があります。そこで今、被災地で活躍しているのが民間の救急車です。
全民救患者搬送協会の小谷哲司理事長:
「被災者を安全な場所に搬送することを主としまして、協会車両及び、全国の民間救急事業者に協力していただき、搬送を行っています」
全国で民間救急サービスを行う事業者の団体「全民救」が、DMATと連携して行っています。民間の救急車は緊急性の高い患者は搬送できませんが、施設の入所者などを搬送することができます。
午前7時半、民間の救急車が県立中央病院から輪島市の百寿苑に向かいました。到着を待つ施設の中では、金沢市の施設に移る女性が入所者や施設の職員と別れのあいさつを交わしていました。
入所者:
「元気になってまた一緒に会おうね、旦那さんにもよろしく。ありがとう」
施設を移る入所者:
「会いましょう」
田上さん:
「明日お風呂入れるかね、今年初風呂やね」
施設を移る入所者:
「(金沢では)できるだけ標準語にしないとね」
田上さん:
「大丈夫、大丈夫。またね、会える日を楽しみにしています」
施設を移る入所者:
「ありがとうございます。頑張ります」
輪島市の百寿苑では入所者の搬送が進み、先週100人いた入所者は50人ほどになりました。
田上さん:
「お風呂にも入っていただけますし、普通の生活ができるのは喜ばしいことかなと思って。心は痛いですけど日々送り出している。最終的に全利用者さんが安全な場所に避難できるまで支援していきたい」
地震で土砂崩れや道路の亀裂などが発生し、状況の悪い道路。金沢市や野々市市などの施設に向け、入所者たちを乗せた民間の救急車はゆっくりと走ります。
搬送先の施設に到着したのは、輪島市を出発してからおよそ5時間後の午後6時でした。
救急救命士の中川瑛司さん:
「(緊急性の高い)重要な現場に救急車や応援の救急車が回せるように、私たち民間救急で施設からの患者さんなどを一人でも多く運ぶことが役割だと感じています」
災害関連死を防ぐため、被災地では高齢者を守る地道な取り組みがきょうも行われています。