リフレッシュ法律相談室 こんなとき、離婚できる?
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日ごろの生活の中で起きる思わぬトラブルを
法律のスペシャリスト アディーレ法律事務所の弁護士がお答えします。
ケース①「転職を繰り返す夫と離婚できる?」
子供が二人いるにもかかわらず、転職を繰り返し収入が不安定。こんな夫と離婚したい。
②.離婚できない
お互いに離婚することに合意ができていれば離婚は可能なのですが、
今回は旦那さまが拒否をしているので本件事情だけだと離婚はできません。
合意が成立しない場合には、裁判で離婚をする必要がありますが
法律で定められた離婚事由がなければ離婚することができません。
民法で定める離婚原因は5つあります。
① 「不貞行為」一般的に言うと「不倫」のこと
② 「悪意の遺棄」行方不明になったり生活費を渡さないなど
③ 「3年以上の生死不明」
④ 「強度の精神病」治療が長期に及んでいたり、
離婚側がそれまでに誠実に面倒を見てきたことなどが必要
⑤ 「婚姻を継続しがたい重大な事由」①~④に当てはまらないけど
これらと同程度に婚姻を継続しがたい事情があれば離婚が認められます。
夫婦の協力、扶助義務に反する場合には悪意の遺棄に該当します。
働けるのに働かない、健康なのに働かない場合には、当てはまる可能性が高いです。
本件では、たしかに転職は繰り返してはいるものの、
就職活動や仕事自体はしているので当てはまらないと思われます。
「婚姻を継続しがたい重大な事由」には様々な要因と程度を総合考慮して判断されます。
例えば、勤労意欲の欠如は、一考慮要素になりえます。
本件では、転職は繰り返していますが、勤労意欲自体はありますので、
これだけでは⑤番にも当たらないと考えられます。
ケース②「浮気していないのに束縛が激しい妻と離婚できる?」
妻の浮気を心配する態度が異常で、10年間耐えたがもう我慢できない。
②.離婚できない
先ほどと同じように離婚については双方の合意があればできるのですが
奥さんが離婚したくないというのであれば合意による離婚は難しいでしょう。
今回の「束縛が激しい」程度だけでは、
裁判上の離婚事由5つの中に当てはまらないと考えられます。
「婚姻を継続しがたい事由」に当てはまりそうにもみえますが
これは、様々な要因と程度を総合考慮して判断されます。
例えば、相手が暴力を振るったり、繰り返し精神的・経済的に追い詰めたり
してくる場合には「婚姻を継続しがたい事由」にあたり得ます。
そのほか「婚姻を継続しがたい事由」にあたり得るものとして
・配偶者や子どもに対する暴力や虐待がある
・仕事をしないで婚姻生活を維持していく意欲がない
・酒やギャンブルなどに家庭のお金を使いこんでしまっている
・多額の借金をしてしまい返却できない状態になっている
などが考慮要素としてあげられます。また、それぞれの程度も問題になってきます。
総合考慮の結果、夫婦の婚姻が破綻し、
共同生活を継続していくことを回復できる見込みがない状態であることが対象になると考えられます。
正当な理由を告げたうえで長期の別居をする、
配偶者の要求を拒否するための話し合いをすることで
離婚の方向にもっていくことができる場合もありますので
ご相談していただけたらと思います。