石川テレビ

 
航空自衛隊小松基地に隣接する石川県小松市佐美町。
ここで専業農家を営む出渕敏夫さん一家は、100歳の母春子さんを筆頭に4世代7人が共に暮らしています。
出渕さんには日々悩まされていることが・・・。それは自衛隊のF15戦闘機による騒音。多い時には1日約80回、戦闘機のごう音が町を貫きます。
さらに去年8月、基地に戦闘機が追加配備される案が持ち上がり、出渕さんはこれ以上の騒音は許せないと反発しました。
実は、出渕さんの家族には、国策によって辛酸をなめた歴史があったのです。
戦前の出渕家は、国が推し進めた「農業移民」の一員として、朝鮮へ渡りました。
韓国併合以降、国は農村の人口過剰と食糧不足を解決するため、農民たちを朝鮮へ送り出したのです。
出渕家の生活は豊かになりましたが、それは朝鮮の人たちの犠牲の上に成り立っていたものでした。
そして、敗戦。 春子さんは財産をすべて失い、ふるさとへ引き揚げて再出発しました。
時代は流れ、一家を養う役目は、春子さんから戦後生まれの息子敏夫さんへと引き継がれましたが、国の政策は新たな形で出渕家にのしかかります。
生活の糧となる稲作は猫の目と言われた「農業政策」に振り回され、さらに日々の暮らしも「国防政策」による戦闘機の騒音で大きな犠牲を強いられました。
出渕さんは、自立した農家をめざすと共に、小松基地騒音訴訟の原告団長として騒音のない普通の暮らしを訴え続けてきました。
度々、国の政策に翻弄されてきた出渕さんの目に、国という存在はどのように映っているのか。
母と息子の2代に渡って国策に立ち向かってきた姿を追いました。

<再放送> 2016年6月20日(月)午後3時53分〜

 Copyright (C) Ishikawa TV. All Rights Reserved.
このホームページに掲載されている文書・映像・音声・写真等の著作権は石川テレビに帰属します。