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子供の時、紙芝居や本で読んだ「西遊記」。宗教心の強い三蔵法師が三人の弟子を伴い、16年かかって経典を長安に持ち帰った奇想天外の物語。面白い題材をドラマ化し、孫悟空役の香取慎吾他、出演者はそれぞれのキャラクターを生かしている。教訓的で、失われつつある日本人の道徳観、家庭でもなおざりにされている問題をタイミング良く見せている。勧善懲悪より、道徳・倫理観を前面に出し、仲間の大切さをよく訴えていると思った。
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三蔵法師は夏目雅子、宮沢りえ、牧瀬里穂に続き深津絵里が演じているが、神秘的な美しさのあった夏目雅子や宮沢りえの印象が強く残っている。深津三蔵法師の“アタマにきました”との台詞には驚いた。毎回“チャリン、チャリン”という音を鳴らし、妖怪たちに迫る場面は水戸黄門の雰囲気があった。孫悟空役はかつてはエノケンも演じたが、われわれの年代では堺正章がなじみ深い。香取慎吾はやたらと大声を出し騒々しく、立ち回りもいまいちではないか。しかし、以前の大作にとらわれないオリジナリティーと言えなくもない。大家族の我が家の評価は小学生は喜び、中学生は“しょぼい”と言い、もう少し上の年代の反応はあまり良くなかった。
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CGを駆使しての撮影で、衣裳もきれいだ。オーストラリア、鳥取砂丘、千葉、茨城県などで撮影したようだが、セットを含め、ちゃちな場面もあった。雑木林、森のシーンは殺風景で神秘性に欠けると思った。シルクロードを旅しているなら、少し現地ロケを入れて雰囲気を出しても良かったと思うが、ラストの砂漠のシーンは美しい。
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月曜9時からという放送時間帯はどうなのか。小学校高学年をターゲットにしているなら、もう1時間ほど早い方が良いのかもしれない。大人も子供も一緒に楽しめるということからこの時間帯になったのだろうが、週末の金曜9時からの方が家族揃ってゆっくり見られるのではないか。
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制作側の意図の一つに“現代は頭は良いが、頭でっかちの世界がある。友情やクラブ活動を通して、子供たちが得る実体験自体が、ありがたい遠い天竺のお経にも勝る”とあるが、今後どんな展開になるのか期待している。
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