石川テレビ



河ア
洋志
(かわさき ひろし)氏(59歳)
金沢大学医学系脳神経医学研究分野教授
    大学院医薬保健学総合研究科長
    サピエンス進化医学研究センター長

<受賞理由>
昨年、発表された受賞者らによる『脳溝(大脳表面のシワの陥凹部分)が脳からの老廃物の除去効率を高める』という学術上の発見は、認知症の予防・治療につながることから医学的にも大きな意義と価値をもつと評価されている。
1965年に金沢市で生まれた受賞者は1998年、京都大学大学院博士課程修了後、同大学研究所で故・笹井芳樹教授の下、再生医学の研究に取り組み、胚性幹細胞からドーパミン神経細胞と網膜色素上皮細胞を試験管内で分化誘導することに世界で初めて成功した。この研究成果は、現在発展しているiPS細胞を用いた再生医療の端緒となった。
その後、米国デューク大学留学、東京大学での研究室主宰を経て、2013年、金沢大学に教授として着任した。ヒトに近い発達した脳の研究を推進するためにイタチ科の動物フェレットに着目し、脳の働きに重要な脳回(大脳表面のシワの隆起部分)に関して、その形成と進化を司るシグナル経路と遺伝子群、細胞種を世界に先駆けて突き止めた。
さらに出生と脳の発達に関する研究も推進し、神経伝達物質の一つセロトニンが出生による新生児の脳発達を制御していることを発見した。この成果は、早産による発達障害や精神疾患の発生機序の理解、ひいては治療法の創出にも結び付くものと期待されている。

上記成果は、ネーチャー・コミュニケーションズをはじめとする権威ある国際科学誌に掲載され、国内外から高く評価されている。また、金沢大学の受賞者の研究室からは、国立大学医学部教授が輩出されるなど、後進の育成にも力を注いでいる。

「Fのさかな」編集部
石川印刷株式会社(七尾市)
編集長:佐味 一郎(さみ いちろう)氏(50歳)
<受賞理由>
「Fのさかな」は能登の魚をテーマに、食育・暮らし・自然・文化などを織り交ぜながら能登の食文化や魚文化を発信することを目的に2006年に創刊されたフリーマガジン。年3〜4回発行し、今年3月時点で63号を数える。石川県内はもとより石川県に向かう「道の駅」や東京の都営地下鉄をはじめ、関東・関西・中京などの各地区で配布され、現在、毎号16,000部発行している。
創刊のきっかけは、2004年の市町村合併の影響で地方自治体が発行する印刷物が集約され仕事が減ったことと、その当時フリーマガジンが流行していたことがあった。また、県外に住む知人の「能登にはおいしい魚がいっぱいあるのに、なんで誰も発信しないのかな」という一言が魚に特化したマガジンへと後押ししたと言う。
誌面では、能登の海からの恵み、季節ごとの魚の生態や特徴、うんちくや食べ方などさまざまな角度から編集し、地元ならではの情報を盛り込み、観光雑誌にはない地元情報を意識しながら企画・取材している。
タイトルの「F」は、フィッシュ、フレッシュ、フレンドリー、フード、ファミリー、ファイト、さらに能登半島の形を表すFを意味し、能登とは切ってもきれない「さかな」の魅力と能登の温もり、そして能登を身近に感じてもらう願いが込められている。

その独自性が評価され、2011年に「ARUNOアワード大賞」を受賞。以降、「日本タウン誌・フリーペーパー大賞」でも多数の賞を獲得し、2018年に殿堂入り。2016年には特集した12魚種をまとめた「Fのさかな おもしろ図鑑」を出版し、第4弾まで発行。能登の魚を通じて、地道にその魅力を全国に伝え続けている。

 
 
○ITCクラブとは

昭和52年11月、石川テレビ放送が創立10周年記念事業の一つとして県内在住の有識者で構成する「ITCクラブ」を結成、地域の発展と地方文化の向上を目的に以下の事業を行う。

1. 石川テレビ賞の選考、贈呈
2. 講演会の開催
3. その他クラブの目的に沿う事業

令和7年4月1日現在の会員数 166名

○石川テレビ賞とは‥‥‥

昭和53年5月、ITCクラブにより創設、石川県内に在住する個人または団体で、美術・工芸、教育・文化、産業・経済、スポーツ、社会福祉などの各分野で地域社会の発展、向上に貢献、また将来性が極めて顕著なものに贈られる。
候補者はクラブ会員から推薦されたものに限り、同クラブ内で選考委員会を設けて決定する。
昭和53年の第1回から令和6年の第47回までに186個人、15団体を顕彰。

○お問い合わせは‥‥‥

ITCクラブ事務局(槇野)
920−0388 金沢市観音堂町チ−18
石川テレビ放送
電話 076−267−2141

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